

新型コロナワクチン健康被害と情報の非対称性
1. はじめに 新型コロナウイルス感染症対策をめぐっては、医科学コミュニティにおいて概ね成功したとする受け止めと、法学コミュニティにおいて人権・法治国家の原則から看過しえない問題を残したとする受け止めとの間に、無視しえない乖離がある。とりわけワクチンをめぐって、この乖離は大きい。本稿は、この乖離を、医学と法学がともに「因果関係」という同じ語を用いながらその内実を異にしてきたという一点に絞り込み、法学の側からの架橋を試みるものである。 2. 「証明の難しさ」は自然の限界ではない 従来の薬害訴訟を阻んできた証明の困難は、科学が未解明という「自然の限界」として理解されてきた。しかし新型コロナワクチンの事態はこの前提を覆す。救済を阻むのは自然の限界ではなく、安全性データの秘匿、市販後監視の機能不全という、人為的に維持された構造である。検証可能なデータを生成しない不作為によって「不明」が維持されているのなら、それは是正されるべき制度の欠陥である。 3. 「比例原則」が救う、情報の持たざる者 情報を圧倒的に支配する側と持たざる側との非対称な関係では、「比例原


AIの「ノイズです」を、なぜ鵜呑みにしてはいけないのか――一枚のグラフを巡る、ある往復の記録
実線は2020〜2025年の確定・概数統計。この記事は、この一枚のグラフをめぐって実際に交わされたやり取りを、ほぼそのまま採録したものである。 結論だけを先に言えば早い。しかし今回、あえてそうしない。この記事で見ていただきたいのは「結論」ではなく、その結論にたどり着くまでに、何回の問い直しが必要だったか、という「過程」そのものである。 SNSで拡散している「新型コロナワクチンで死産が増えている」というグラフについて、筆者はAI(Claude)に検証を依頼した。以下は、その最初のやり取りから、最終的な結論に至るまでを、実際の発話に基づいて再構成したものである。AIの最初の答えを、そのまま信じてよいものかどうか——それを、この記録自体で確かめていただきたい。 第一問 「このグラフ、どう説明されますか」 筆者: このグラフはどのように説明されるのでしたっけ? Claude: 同じ資料セットからの一コマである可能性が高いです。厚労省確定数によれば、自然死産率は令和5年(2023)9.6→令和6年(2024)9.8で、確かに前年よりわずかに上昇していま


電子教科書『デジタル労働法』改訂版2.1を公開しました
学部・通信教育課程の学生向け電子教科書『デジタル労働法』の改訂版2.1を公開しました。本文から主要判例の要旨へ直接リンクで参照できる構成はそのままに、判例要旨全154件を判決原文と照合し、事件名・判決日・要旨の誤りを訂正しています。










